栞いろは歌  禅のことをもっと…

枯木再生花(こぼくふたたびはなをしょうず)

臨黄ネット栞「こ」 枯木再生花(こぼくふたたびはなをしょうず)

禅に志を立てて先ず参じるのが「趙州無字」の公案です。その「無字」に参じて、来る日も来る日も無字一枚(無心になる為の修行)、機が熟し、ある日突然、思慮分別、煩悩妄想を打ち払って自分もない、居るべき大地もない、何もない、柳は緑を失し、花は紅を失して、真暗々の消息を得ます。いわゆる、大死一番の端的です。しかし、そこに止まってしまっては犬死です。絶後に蘇り、もう一度、柳は緑、花は紅の明るい世界に帰って来ます。これが大活現前です。死んだものが再び息を吹き返す、この辺の消息を「枯木再び花を生ず」と云うのです。

《原典・碧巌録/引用・細川景一著『枯木再び花を生ず』(禅文化研究所)より》

写真 曽爾高原にて枯木